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気づき

シスター 萩原 久美子

今日の心の糧イメージ

 イスラエル・ダビデ王家二代目ソロモンが王位に就いたとき、神はソロモン王を祝福して「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」と言います。若きソロモン王は、父ダビデから受け継いだ富や権力の上に君臨するのではなく、ただ今の自分の状況、すなわち王になるには「若く取るに足りない者である」ことに気づき、それを認めて神の前にへりくだり、智慧の心と判断力だけを願いました。(参 列王記3・5~14)

 ソロモン王の願いは、謙虚な心から生まれた純粋な祈りだったのだろうと思います。私もこんな祈りが、いつもできたらいいなと思います。

 未熟さは誰の心の内にもあるものです。自分の弱さや至らなさ、忘恩や許せない心、あるいは、頂いている能力や良さに気づけないでいること、などなど。私の心の内にある様々なことへの気づきは、だれかに強制的に気づかされるものではなく、考えあぐねて出てくるものでもなく心の内にふっと湧いては消えていく、微かな光であるのかもしれません。

 内面のそうした気づきは、時に目を背けてしまいたくなることもあり、ましてやそれを口にすることは、とても勇気がいることです。でも、そこにしっかり向き合ったとき、ソロモン王がそうであったように、神様は私にそれ以上の恵みをくださるに違いありません。

 私の中には、無限の気づきの種があるのだと思います。それらがあるときふっと湧いてきて気づく。その気づきは、「今、その時、私」にしかできないことです。

 心の内にともる微かな気づきの光。その気づきは、私の成長の糧となり、私を豊かにしてくれるものかもしれません。そして、神様と出会う機会であるのかもしれません。