気づき

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

 私たちはカトリック教会の公共要理の一番最初で次のことを学ぶ。

 「人がこの世にいるのは天主を認め、愛し、これにつかえ、ついには天国の幸福を深めるためであります」と。

 天国へいくためにどうしたらいいか、早く気づく人もあれば、なかなか気づかない人もいる。

 しかし、最期の瞬間に気がつき、それまでの罪状をゆるしていただき、天国へ迎え入れられた人もいる。

 それは、ルカ福音書の23章39節から43節に記されている。

 イエス様とともに十字架にかけられた犯罪人の一人が「お前はメシアではないか。自分とおれたちを救ってみろ」と、ぼうとくの言葉を吐いた時、もう一人の犯罪人はこれをたしなめて、「おまえは同じ刑罰を受けていながら、まだ神を恐れないのか。われわれは自分のやったことの報いを受けているのだからあたりまえだが、この方は何も悪いことをなさってはいないのだ」と言い、「イエスさま、あなたが王権をもって来られる時にはどうかわたしを思い出してください」と言った。その時イエスさまは「あなたによく言っておく。今日、あなたはわたしとともに楽園にいるであろう」とおおせられた。

 どんな罪を犯した男であったか、詳しくはわからないが、どんな極悪人であろうと、最期の瞬間に魂に気づきを感じ、神様に心からのお詫びを申し上げたら助けられるのである。

 年を重ねるに従い、聖書の言葉がひとつひとつ心にしみとおる様になって来た。今はこの犯罪人の回心の言葉が更に心にしみとおる。

 神さまはひとりひとりの人間の最後の瞬間にまで希望を与えておられるのである。

よろこび

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

 天地自然が蘇る4月となりました。

 公園の雑木林も芽吹き、樹によって形や色が異なる新緑の濃淡が、美しいパッチワークのようです。毎日そこを散歩する私の心も喜びで弾み、自然に聖歌がほとばしり出ます。

 神さまの愛は染み通る 私たちの心に 陽の光のように

 山も丘も一緒に 賛美の歌を歌おう

 森も林も一緒に 賛美の歌を歌おう

 鳥もけものも一緒に

 男も女も一緒に 賛美の歌を歌おう

 続けて歌っていると、この歌が大好きだった幼友達の「せっちゃん」を思い出しました。保育園の園長だった彼女は、「先生、神さまの歌を歌おう」とせがむんで、よく一緒に歌いよるがよ』と笑っていました。

 彼女はクリスチャンではありませんでしたが、自然の中に息吹く神さまの尊い力を感じて、子どもたちと無邪気に歌っていたのでしょう。

 癌の告知を受けてからは、電子オルガンをベッドで弾きながら歌い続け、死の一週間前にも「ちいちゃん、あの歌一緒に歌って!」と電話してきて、私は涙ながらに祈りを込めて歌いました。二日後、神さまの愛を心に染み通らせて安らかに亡くなりました。今も天国で歌っているのではないかと思います。

 更にこの歌を歌うと、来日されたフランシスコ教皇様の喜びに輝くあの笑顔が心に浮かびました。「全てのいのちを守るため」という来日のスローガンは、天地万物を創られた神さまの愛の御心です。その神様が人類を救うために遣わされたイエス・キリストの愛と奉仕のみ教えを、全身全霊で実践されている教皇様の確固たる信仰心が、自ずとあの笑顔に表れていると感動しました。

 教皇様の愛による世界平和へのメッセージも、我欲が横行して混乱を極める今の世界の現状を正しく導く羅針盤です。希望が沸いてきました。


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