▲をクリックすると音声で聞こえます。

新たな出発

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

 私が生まれた時代は昭和です。母が父に名前を決めて欲しいので電報を打ちますと、海軍の作戦中だった父から「生まれた土地の名、高雄にせよ」と返電が来て、私は「高雄」という名で人生を出発することとなりました。

 さて、人類一人ひとりの誕生の背景には不思議な絡み合いがあります。色々観察すると、その人が自分の天命、天職を意識しているかは別として、どうも神様は一人ひとりに何かを囁いておられ、そのことを人は、ある時ふと気づくようです。神父や修道者への道、結婚、色々な職業、いずれも水の流れのように人生が流れ始めます。この、道の選択は神秘的。

 職業柄、いつも人々の生き甲斐を観察していますが、生きる喜びを感じている人に共通なのは自分に正直、という事。

 料理、音楽、絵画でも好き嫌いを明確に意識され、態度には表わしませんが、好きな人、嫌いな人、とはっきりしていて、スカッとした人間関係を持っておられます。人生のいたずらで嫌いな人々に囲まれた時、その人は、全知全能の神様にお任せしていて、あっけらかんと馬鹿話を楽しむそうです。

 今、ウイルス問題で先が見えない不安の時代に生きていますが、どんな場合でも、不安感をどう処理したら、その人に相応しい新しい幸福への道が見つかるのでしょうか?答えは一つ、その不安感の解釈をどうするか、です。不安感は「理想と現実のギャップが不安感」と定義されていますので、それぞれの事例をこの法則に当てはめて解釈しますと、答が見えてきます。

 すなわち、不安感は神様からの愛のシグナルでもあり、新たな出発方向を示唆する知恵の源のようです。