イエス・キリストが使徒たちによく話していたことがあります。
それは、いつかご自分が祭司長や律法の学者たちに苦しめられ、殺されて3日目に復活なさるということでした。しかし、彼らには理解できませんでした。
「時」が来て、いよいよイエスが捕らえられると、皆は怖くなって逃げてしまいました。ペトロだけはそっと隠れながらイエスについていきました。すると「あなたもあの人の仲間でしょう」と言われ、思わず「知らない!」と3度も否定してしまったのです。大切な先生が突然、荒々しく連行されたのですから、混乱し、恐れのあまり思わず口走ったのでした。
イエスは十字架にかけられて亡くなりました。そして、お言葉通りに3日目に復活し、固く戸を閉ざしていた弟子たちの家にスッと入ってこられました。「あなた方に平和があるように」と祝福の言葉をかけながら。(ヨハネ20・19)
その後の40日間もたびたびお現われになり、ある朝はガリラヤ湖のそばで弟子たちと一緒に朝食をとりました。炭火をおこして魚を焼き、パンまで用意していました。食事が終わるとイエスはペトロに向かって話をしました。「ペトロ、あなたはこの人たち以上にわたしを愛しているか」「はい、私があなたを愛していることをあなたはご存じです」。(ヨハネ21.15)答を聞くとイエスはさらに二度同じことをお尋ねになりました。ペトロは悲しくなりました。しかし、これはイエスの「思いやり」だったのです。彼がイエスを知らない、と言ったことで胸につかえていた重い石を取り除いてくださったのです。
イエスは、3度の愛の言葉で「もうゆるしている」と伝えたのです。