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思いやり

シスター 谷口 恵美

今日の心の糧イメージ

 だいぶ日が暮れ、肌寒くなってきた夕方六時、お告げの鐘を鳴らし終えたシスターKが私を見て、開口一番「あら~、お疲れ様やったね~」と言ってくれた。用事で長崎市内から平戸まで行き、帰ってきたところだったのである。

 シスターKは80代、私が短大生だった30年ほど前から知っている。「頑張りよるね~」とまたねぎらいの言葉。用事の内容を知っていたのだろう。そして、「お父さん、お母さんは元気?」と、聞いてくれた。それを聞いて私は温かい気持ちになった。自分のことを気にかけてくれるのはうれしい。でもさらに、両親や家族のことまでも気にかけてもらえるのはとてもありがたい気持ちがする。そんな思いやりの心遣いがとてもうれしいのだ。シスターKと話していてその物腰の柔らかさと、語り口の優しさで私自身も優しい気持ちになった。そして、その眼差しがまた私の心を捉えた。話しながら「イエスさまの眼差しだ!」という感じがした。もちろんイエス様の眼差しを実際に見たことはないのだけれど、そんな感じがしたのだ。

 しばらく経って、この時のシスターKのことを思い出していると、ヨハネ福音書の言葉がふっと心に浮かんできた。「私があなた方を愛したようにあなた方も互いに愛し合いなさい」(ヨハネ15・12)

 イエス様が愛するというとき、言葉やしぐさ、眼差し、いろいろなところから思いやりの心があふれていたのではないか。そして、相手にその優しさや思いやりが伝わっていたのではないか。シスターKの優しいまなざしを思い浮かべ、その心を想像した。私も神様からいただいた賜物を通して神様の思いやりの心をシスターKのように少しでも伝えられたら、と思う。