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思いやり

シスター 岩田 真里亜

今日の心の糧イメージ

 私は介護の仕事をしていますが、資格取得のために実習をした施設で指導してくださった職員から「ただ優しくすることと、その人のことを思いやることは同じではないのだ。」と教えていただいたことがあります。日常生活に介助を必要とする方たちに対して、必要以上に手伝ってしまっていた私に対する一言でした。指導者の方は続けて、「介護に大切なのはその人のことを思いやることで、思いやるということはその人のことを知り、待つことなのだ」と教えてくださいました。

 これは、介護の世界に限ったことではないと思います。介護の世界に限らず、目の前にいるこの人にとって何が必要で何が必要でないのか、まずその人のことを「知り」、その人の持っている力を「知る」ことは重要なことです。これには、自分自身の見極める力も必要です。そして、その人が自分の力を最大限に引き出すことができるように援助しながら、「待つ」ことも重要なことです。正直なところ、私が良いと思うことを何でもしてあげることの方が簡単で時間もかからず、自己満足感も得ることができるので楽だと感じることがあります。

 イエス様も、目の前にいる人のことを「知り」、「待つ」ことのできる方だったのだと思います。イエス様のもとに集まってくる人は、年齢も性別も、身分、生まれも全く違う人たちでした。それぞれに違った人生を生きてきた人たちと語り、その人のことを知り、それぞれを違ったやり方で癒してくださっている姿、弟子たちの成長を見守る姿は、私たちに人を思いやることを教えてくださっています。このイエス様の姿を思いながら、私も関わる人とともに生きていきたいと思います。