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思いやり

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 「お先にどうぞ!」「ありがとう!」列に並ぼうとしたとき、どこかに入ろうとしたとき、誰かと一緒になって、相手に先を譲ったり、相手から先を譲られたりした経験はありますか。ほんの一瞬、あっという間の出来事ですが、私たちの心があらわになる「ひととき」です。

 この様な思いやりを大切にしたいですね。落としものに気づいて拾い、後を追いかけて「落とされましたよ」と言って、落とした方にお渡しするのも思いやり。渡せないけれど、誰かが落とし、失くして困っていることを想って、交番に届けるのも思いやり。

 秋の幼稚園の遠足、年中児は公園へ。ドングリを拾い集めて、牛乳パックで作った小さな宝箱に入れていたのを取り出して、「これあげる。みんなあげる。」と言ってくれたお友達。ドングリもさることながら、大切なものをプレゼントしてくれたことに心温まりました。

 年長児は、動物園の遠足、オランウータンの檻の前の出来事。檻の中でゴロゴロしていたオランウータンにみんなで手を振っていたら、ブランコの方に行って、乗って漕ぎだして、ガラス前にいる私たちの目の前まで、ブランコに揺れながら何度も何度も来てくれました。これには子どもたちも大喜び。これはきっとオランウータンの私たちへの思いやり。

 思いやり。それは生きとし生ける者ができる大切なものと言えるのではないでしょうか。

 この様な思いやり、思いやりの心、行いが広まってゆくなら、この世界は思いやりに満ちた心温かな世界になってゆくことでしょう。

 私は今、私たちは今、どの様な心を持って、生きているでしょうか。出会う人々、生き物、全てを大切にしながら、思いやりを持って歩んでゆくことができます様に。