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幼子誕生

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 幼稚園の子どもたちと一緒にいると、一人ひとりに、その子にしかない素晴らしさがあることに気づく。たとえば、ある子には、グループを引っ張ってゆくための思いやりと決断力が。ある子には、クラスのみんなを楽しくする明るさが。ある子には、友だちが困っているのにすぐ気づく優しさがある。それら一つひとつの素晴らしさが発揮されることによって、幼稚園は温かな幸せに満たされてゆく。

 神さまは子どもたち一人ひとりに、その子にしか果たせない使命と、その使命を果たすための力を与えられた。わたしたち大人の役割は、それぞれの子どもが、自分の持っている力を育て、伸ばしてゆくのを助けることだろう。たった一人でも使命を見失い、迷子になれば、この世界はそのぶん不完全になってしまう。すべての子どもが自分の役割を見つけ出し、それを精いっぱいに果たすとき、この世界は神さまが望まれる通りの世界、いたわりと愛に満ち、すべての人が幸せに生きられる「神の国」になるのだ。

 今から2000年ほど前、イエス・キリストはこの世界を救う使命を帯びて誕生したという。地上に「神の国」を実現することが救いだとすれば、わたしたち一人ひとりも、それぞれに世界を救う使命を帯びて生まれてきたと考えられないだろうか。たとえ目立たない小さな役割であったとしても、それぞれが自分の役割を精いっぱい果たすことによって、わたしたちは地上に「神の国」を実現できる。必要のない人、生まれて来なければよかった人など一人もいない 誰もが、世界を救う使命を帯びて生まれてきた、かけがえのない「神の子」なのだ。イエス・キリストに倣って、わたしたちも自分の使命を存分に果たしてゆきたい。