▲をクリックすると音声で聞こえます。

幼子誕生

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 クリスマスのお話を考える時に、よく思うことは、「私の今の日常生活に、突然、幼子がやってきたら」ということです。自分のこだわり、自分のやり方、そういうものに固執している日常生活に、それらすべてをうち壊す形で、幼子がやってくるのです。

 幼子を日常生活に受入れる、ということは、この私の生活の中心が自分自身ではなく、幼子が中心になるということでしょう。幼子の微笑みが、私自身の生きる喜びへと繋がっていき、幼子の一挙手一投足に慌てふためいたり、心配になったりする生活です。

 正直言って、これは大変なことだな、と思っています。自分自身のペースが乱されたり、自分のやりたいことがかなわなかったりするからです。それでも、世の中の父親、母親たちは、幼子の誕生を素直に喜び、幼子を日常生活に受入れ続けています。これは本当にすごいことだな、と思います。

 幼子を受け入れるということは、自分自身に固執しない、ということでもあるでしょう。また、何よりも第一に、いつも幼子のことを考えて行動する、ということでもあるでしょう。幼子によって、自分自身の生活や生き方が一変することにもなるのです。

 クリスマスとは、イエスのご誕生を祝うことです。言い方を変えると、イエスご自身を日常生活に受入れることでもあります。「私の今の日常生活に、突然、幼子がやってきたら」と考えながら生きることでもあると思います。それなりの覚悟が求められます。日常生活で幼子を受入れ、育てていくのですから。

 でも心配はいりません。幼子の笑顔は、何にも代えがたいすばらしいものであり、私たちの生きる力になるものです。そして、幼子はいつも私たちを見つめ続けてくれるからです。