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心を一つに

末盛 千枝子

今日の心の糧イメージ

 世界中が、コロナウイルスのことで、大変になってしまいました。

 でも、私は冷たいかもしれませんが、どこかで、「やっぱり来た」と思っているようです。というのは、あの三陸地震の時に、岩手に住んで間もない私はなぜか「大変なのは自分たちだけではない」と強く思ったからです。そのすぐ後でロンドンで行われた子供の本の世界大会で報告を求められたのですが、その時にも、英文のテロップをつけてもらった「花は咲く」という歌のビデオを流して、「みなさん東北の大変な状態はテレビなどでご覧になったでしょうが、大変なのは私たちだけではないと思っています」と話したのです。

 あの歌の中に、希望が語られていると思ったからです。「すぐに良くなる、回復するということではないかもしれない、でも、本当にゆっくりとゆっくりと思いがけない光が見えてくるのではないかと思うのです、希望とはそういうものではないでしょうか」と言ったのです。すると終わった時に、たくさんの方がそばに来て、泣きながら喜んで、感謝してくれました。私は自分の気持ちが通じた、と思ったのです。そう、それぞれみんなも、何かかにか、困難を抱えているのだと思いました。自分たちだけが大変なわけではないのです。

 そして、今回のコロナです。これは世界中ですから、誰かを恨んだりしても何も始まらない、と思います。

 でも、ミサがないのはなんとも悲しい。

 ただ、ネットで流される世界中のミサの様子を見ながら、不思議な感覚に捉えられました。画面で見ていても、やはりミサに与っているという実感があるのです。そして、これは原始キリスト教の時代、つまり、キリストが天に帰ってから、教会ができるまでの混乱の時間を生きた人たちの素朴な信仰を思ったのです。