今から15年ほど前のこと、イスラエルを訪問し、ガリラヤ湖畔の宿に滞在した時のことです。夕日が湖の向う側にゆっくりと沈んでいくのを眺めていると、ある家族が目の前に現れました。
1台の車から降りてきたその家族は、お父さんとお母さん、5歳くらいと3歳くらいの男の子2人の4人でした。男の子たちは、何か叫びながら、お父さんの周りを嬉しそうにまとわりついています。よく耳をすましてみると、その声は「アバー、アバー。」と聞こえました。
その時、はっと気づいたのです。イエスが、父である神さまを呼んでいたのと同じ呼びかけだったのではないか、と。
この子どもたちは、お父さんがとても大好きなのでしょう。そして、一緒にいるのがとても嬉しくてたまらないのでしょう。その喜びを体全体で表し、お父さんにまとわりついていたのですから。
親と子の関係の基本はここにあるのかもしれません。親は子どもがかわいくてしょうがない。そして、子どもは親が大好きでしょうがない。このような関わりが積み重ねられて、親と子の信頼関係がより深まっていくのでしょう。
聖書によれば、イエスが洗礼を受けられた後、「『あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』という声が天から聞こえた。」と記されています。(マルコ1.11)
神さまから造られた私たち一人一人もまた、神さまが愛してくださる神さまの子どもです。神さまから見れば、一人一人がかわいい子どもです。そして、私たちは、神さまを親としてより頼むことができます。
イスラエルで出会った、お父さんがとても大好きな子どもたちのように、一緒にいるのがとても嬉しい、という気持ちを持ち続けて、親なる神さまとの関わりを深めていきたいと願います。