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親と子ども

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

 10人兄弟の末っ子として育った私ですが、早くに両親を失ったからこそ、親子の愛情こそが、幸せの源泉だと主張したいのです。

 男兄弟が8人、女姉妹が2人ですが、長女は早くから実家を出て、養女になりました。次女は田舎を離れ、都会の専門学校の寄宿舎に泊まっていたので、家にはほとんど男兄弟だけでした。戦中、戦後の厳しい時代でもありましたが、何より寂しく、生きるのが空しく感じられたのは、親がいなかったからだと、今でも思います。

 現在は、信者として、神さまやイエス様を親や兄弟のように感じているので、淋しくありませんが、昔は本当に孤独でした。現代の親が、子どもよりも仕事や職業を愛しているのでは、はっきり申し上げて、決して本当の幸せを体験することはできないでしょう。

 

 神さまが人に子どもを生み、育て、世話する愛をお与えになったのは、それによって神さまがあなた方自身をわが子のように愛しておられることを悟らせるためでした。母がわが子を無条件に自分自身よりも愛するように仕向けているのは、神さまの私たちに対する無条件の愛を体験させるためなのです。

 愛よりも素晴らしい宝はどこにもありません。現代人が間違っている、または分からないのは、神さまの無条件の愛を体験することなく、愛よりも仕事、お金、趣味、享楽、名誉、権力、支配欲などを優先させているからです。

 もう一度、繰り返します。親が子どもを愛するのは、子どもの中に神を見るからです。反対に、子どもが親を愛するのは、親の中に神を見るからです。