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親と子ども

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

 私には2組の両親がいる。

 実家、中尾の両親と、婚家、今井の両親である。

 実家の両親とは18年間、今井の両親とはその倍の33年間、一緒に暮らした。

 従ってどちらの両親も同じ比率でなつかしいと感じられる。

 2人の母は対照的であった。

 中尾の母は何でもしゃきしゃきとこなせて、無駄な動作など見かけなかった。口癖が「今日のことは今日のうちにすませろよ。そして、余力があったら、明日の分も先どりしてすませろよ。明日のことは何があるかわからんけんね」ということだった。

 その反対に今井の母はのんびり屋で「明日のことは明日したらいい、できなかったら明後日にしたらいい」と先のばしした。

 

 中尾の父は、よきにはからえタイプで、しっかり者の母任せであった。

 今井の父は、財布は自分が握り、それこそ、よそからいただき物のまんじゅうの数もきっちり覚えているような几帳面な性格であった。

 最初は今井の両親になじめず、一人になるとよく泣いた。

 心の中で「中尾の両親と今井の両親を足して2で割ったらいいのに」と思ったりした。

 しかし、いつしか今井の両親になじんだ。

 それは、両方の両親に共通しているものに徐々に気が付いたからであった。

 2組の両親は、宗教は異なったが、とても信仰深かった。日常の中にちゃんと神さまを中心にすえて暮らしていた。

 そして欲はなし、情け深いところも同じであった。何よりも私を嫁としてではなく、実の娘のように可愛がってくれたので、私も今井の両親を実の親のように慕った。