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その時『わたし』は

古川 利雅 神父

今日の心の糧イメージ

 私の人生の大きな転換点の一つは、4歳の夏の引越でしょうか。引越後、近くの幼稚園に母と一緒に入園のお願いに行きましたが、同年代の子供の数が多いことや中途入園ということもあり、幾つもの幼稚園で断られました。その様な中、自宅の最寄り駅から何駅か先にある幼稚園の園長先生は、私が園庭で遊ぶ様子をご覧になられて「泣いてでもくれたら断る理由になったのに...」その様に仰って受入れて下さいました。

 そこはカトリック校。毎日お祈りがあり、小学校の始業式と終業式はミサがありました。クリスチャンになったのは社会人になってからですが、後に理事長となったその園長先生との出会いが、私のキリスト教との出会い、神様との出会いの大きなきっかけとなりました。

 修道会入会前、卒園・卒業したその学園に母と一緒に報告に伺いましたが、その際に先生が仰ったことが今も深く心に残っています。「理事長だった母が亡くなった後、理事長を引受けて以来、集会に行けていないけれど、私はカルメルの在世会員なのよ...」、「これまでこの学園を続けて来たけれど、修道院に入るということを聞いて、神様から答えを貰った様な気がする...」と。

 受け入れた子が30数年後、自分が所属しているカルメルの在世会、その同じカルメルの修道会に入ることを聞いて、神様から答えを貰った様な気がすると思う程に先生にとって大きな出来事だったのでしょう。もちろんそれは私にとっても大きなことでした。

 報告に伺って6年半後、先生は私が生涯を神様に捧げる荘厳誓願式に来て下さり、先生も見守って下さる中、誓いを立てました。

 今は天から見守っていて下さいます。

 神の計らいは限りなく、生涯私はその中に生きる...。