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その時『わたし』は

小林 陽子

今日の心の糧イメージ

 「あなたは自分を神さまにしています」

 あるご縁をいただいて、霊的指導を受けていた司祭の一言。それがどんな会話の流れの中であったかもう覚えておりません。

 けれどこの一言は、まっすぐわたしの心臓に届きました。敬愛する老司祭は、淡々と責めるふうでも憤るでもなくそう言われたのです。

 わたしが自分を神にしている?!

 あまりにもショックでしたので、頭は真っ白になり返す言葉もありませんでした。

 たぶん何か人間関係のことで神父様にご相談したのではないかと思います。

 だいたい自分を神にする、ということで思い浮かべるのは、アダムとイヴ。

 

 聖書に次のように書かれています。(創世記3・4~5)

 ~蛇は女に言った。「決して死ぬことはない。それを食べると、目が開け、神のように善悪を知るものとなることを神はご存じなのだ」~

 この禁じられた木の実を食べれば神のようになれるぞと言う蛇の誘惑に負けた創世記の物語です。

 小さい頃からこの創世記の物語に馴染んでいたので、かえってひとごとのよう、自分には関係ないわと読み過ごしていたのかもしれません。いえ、ほんとにそうでした。

 それがこの神父様の一言で、我が内なる断崖から真っ逆さまに落下する、という体験をしたのでした。

 自分の思い通りの自分を作りあげ、そのものさしで人を裁いたり、上から目線でものを言っていたのです。あとからあとから涙が溢れました。こんな厳しいことを言ってくださるのは長年のつきあいの親友でも家族でもなく、私の魂のありかを神さまの思いのうちにいるのか、キリストに本当に出会っているのか、洞察し識別してくださる方をおいてはありません。

 この神父様には鍛えられました。 感謝です!