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その時『わたし』は

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 私は7年前から神戸のバイブルハウスというキリスト教諸教派の集まりに参加しています。

 日本聖書協会の方に言わせると、「キリスト教諸教派が集まり、バイブルの名のもとにいろいろな活動を行っている常設の組織は珍しい」のだそうです。聖書セミナーや諸教派の聖書の読み方や習慣の発表、バザーやクリスマスの昼食の集い、国内や国外への巡礼など、盛沢山の行事をこなします。

 そんな中、このバイブルハウスの運営資金調達のために、ディナーコンサートを開くことが提案されました。女性2人が教会のホールで弾き語りをするというのです。

 私は音楽が好きですからもちろん賛成しましたが、問題はどのように参加者を集めるかです。いろいろな人に声をかけ、何とか5人の参加者を確保しました。コンサートの参加者が集まることだけを意識していたのです。

 そして食事会が始まり、頃合いを見計らってコンサートが始まりました。それがとても楽しいのです。演奏者の見も知らない人の普通の話なのに、聖書のイエスが語っているかのように心に感動を覚えるのです。

 食事会で心も満たされたのでしょう。帰りがけに、一人の主婦の方が、「こんなに楽しい行事が、いつも教会にあったらいいなあ」と、語ってくれました。

 宗教改革のころ、フィリッポ・ネリという人がいました。この人は、それまでのまじめで厳粛な祈りに若者を招こうと、祈りや聖書の朗読に音楽を加え、それがオラトリオの始まりとなりました。また巡礼を楽しいものと思えるようにして、当時の若者を魅了したのです。

 食べる、音楽を聴くという人間性の中にイエスの言葉が響いた時、喜びとなって心が満たされるのだという事を再確認した時でもありました。