以前、幼稚園併設の教会に住んでいた時、よく幼稚園の誕生会に招かれました。この誕生会では必ず行われる儀式がありました。
それは、幼稚園の先生が誕生月の子供たち一人一人にマイクを傾けて、「大きくなったら何になりたい?」と質問するのです。男の子たちは「サッカー選手になりたい。」「お巡りさんになりたい」「バスの運転手になりたい。」「お寿司屋さんになりたい。」と、しっかりと答えるのです。女の子たちは、「私は、プリキュアになりたい。」「ケーキ屋さんになりたい。」「お花屋さんになりたい。」と思い思いに答えていきます。
前の子が同じことを言っても、関係なく、堂々としていますし、そのあとに拍手がありますが、拍手を聴くと少し恥ずかしそうにします。別の幼稚園でも、子供たちに同じ質問をしてみました。やはり、にこにこと嬉しそうに、そして自信たっぷりに答え、30分ほどこの話で盛り上がったことがあります。
これは、子供だけでなく大人の世界でも同じことが言えそうです。以前属していた修道会は、日本に20名あまりしか会員がいませんでした。その会員が、日本の各地に散らばっていたので、お互いの連帯感を保つために、年3回、一堂に集まって親睦を温めていました。その折に、必ず「今どんな気持ちで生活をしているか?」「今年の抱負と不安は?」などたわいもない発言を一人10分程するのです。
このセッションの後、不思議と皆は元気になり、お互い親しく会話をし始めます。一人一人に、独自の命があることの確認作業のようですし、その独自さを表現することで、自分のいのちの息吹を感じ、確認しているときなのかもしれません。