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春は希望の時

末盛 千枝子

今日の心の糧イメージ

 いま、私の住む北国岩手も、急に春になってきました。

 雪景色がとても好きなので、冬はイヤではないのですが、やはり春はいいなと思います。雪が消えるともうその下にクロッカスや、スノードロップなどの春の花が咲き始めていて、フキノトウなどがすでに出てきているのです。本当に素晴らしいと思います。雪のある間に、雪の下ではもう準備ができて殆ど咲き始めていて、あとは雪が消えて私たちの目に触れるばかりになっているのです。なんと美しいのだろうかと思います。もちろん、人に見てもらえなくとも、咲いているのです。

 数日前から、岩手山という目の前の大きな山にそって白鳥が北に帰っていく様子が見えていたのですが、夕方買い物に行った時に、クークーという鳴き声がしたので見上げると頭の真上を白鳥の群れがカギ型になって飛んでいくのです。感動的でした。何か、気をつけていきなさいね、と言ってやりたいようでした。見送っていると飛びながら、またクークーと鳴いているのが聞こえました。なんだか涙があふれそうでした。どうしてこんなに感動的なのだろうかと考えていたのですが、あの白鳥たちのこれからの旅路を思っていたからでしょうか。本当にけなげだと思いました。

 雀も、どこに隠れていたのか、と思うように、急にのんびりとしています。鳥も花も、それぞれが春を待っていたのです。春を待っているのが、人間だけではないというのは、とても素敵なことだと思います。もちろん、雪が消えるとすぐに、お百姓さんたちはすぐに畑に出ています。まだ作業は始まってはいないようですが、きっと畑を見ながら、いろんな手順を考えているのでしょう。

 やはり、春は希望の時です。