私には夢がありました。バラ園を作りたいという夢です。函館郊外大沼に移住した折に、すぐにも叶うと思いました。
早速バラ苗のカタログを見て、初心者用の育てやすいものを選びました。移住した秋のことです。
翌年の春、苗が送られてきました。苗の植え方を見ながら、玄関前のアプローチに植えました。友人が遊びに来て言いました。「バラは日照時間が大切よ。ここで育つかしら」我が家は森の中に家があり、陽当たりが良いとはいえません。1年目、2年目、苗はだんだん小さくなり3年目になると、細い苗になってしまいました。陽当たりが悪いだけでなく、植えた土地が砂地で、施した肥料がすぐに抜けてしまうようです。
それならば鉢植えにしよう。植木鉢に蔓バラと四季咲きのバラを植えました。鉢は陽当たりが良い二階のベランダに置きました。これは大成功で秋にはベランダ中に蔓が伸びきれいなピンクの花が咲きました。四季咲きのバラも良く咲いて、苗がひとまわり大きくなりました。
冬、2メートルもの積雪になる雪国では、雪かきに鉢は邪魔です。バラをかなり剪定して軒下に移動しました。ところがその冬は大雪で、吹き込んできた雪で鉢がすっぽりと覆われてしまいました。雪がとけて苗を見ると、根元がぐるりとネズミに齧られていました。またしても全滅したのです。
昨年の事です。隣の敷地の人が家を新築するため、森を伐採しました。そのおかげで我が家は大層陽当たりが良くなりました。私は深い穴を掘り堆肥を植えこむと、2本のバラの苗を植えました。アナとヨハンという名前のバラです。秋にはそれぞれピンクの花が咲きました。今度こそ花を咲かせておくれ。頑張れ、アナとヨハン。頑張れ、私。