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ひたすら前に

森田 直樹 神父

今日の心の糧イメージ

 私事ではありますが、若い時には、何事に対しても、ひたすら突き進んでいたように思います。次々とやって来る新しい奉仕に対しても、どんどんチャレンジし続けることが多かったように思います。失敗も数多くあったことと思いますが、とにかくひたすら前に進んでいました。

 ところが、歳を重ねるにつれて、過去の失敗の経験の記憶に引きずられて、だんだんと億劫になり、新しい一歩を踏み出すことがなかなか難しくなってきました。新しい奉仕や、新しい住環境など、適応していくのに時間がかかるようになったのです。

 ところで、イエスという方は、何事に対しても、ひたすら前に進まれる方だったようです。それが、十字架上での死に至る道であったとしても、です。

 聖書は次のように伝えます。「一行がエルサレムへ上って行く途中、イエスは先頭に立って進んで行かれた。それを見て、弟子たちは驚き、従う者たちは恐れた。」(マルコ10・32)

 エルサレムへの道は、十字架への道です。それにもかかわらず、イエスさまは先頭を切って、ひたすら前に向かわれます。そこには何の躊躇もみられません。

 進んで行く先に、苦難や困難があったとしても、ひたすら前へとイエスさまは進まれました。そこには、神さまがいつも共にいてくださる、という意識や、何事があっても、神さまが必ず助けてくださるという強い信頼があったのではないかと推測します。これらは、ひたすら前に進むイエスさまの力強い支えだったことでしょう。

 ところで新しい年を迎え、私たちは新たな一歩を踏み出します。たとえ苦難や困難が目前に立ちはだかっていても、イエスさまが持ち続けていた神さまへの信頼の心をしっかり携えて、新しい年を歩んでいきたいものです。