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ひたすら前に

今井 美沙子

今日の心の糧イメージ

 朝、目が覚めると、「ああ、生かされていた」と神様に対し感謝の念が湧き起こる。

 特に、前夜ひどいめまいなどがしていた時には尚更、ありがたいなと思う。

 週の立ち上がりの日の月曜日には、よし、今週も頑張ろうと自分を励ます。

 月の一日目にもそう思う。

 年の初めにはましてやである。

 昨日と何も変わらないはずなのに、なぜかお正月には、新鮮な空気が漂っているような気がするのは不思議である。

 なぜだろうか。

 数日前から大掃除をしたせいかもしれないが、そういう物理的なものではなく、やはり心が新しく生まれ変わったような気がする。

 「さあ、今年も精一杯生きよう」という気持ちがいっぱい。

 5年前に大腸ガンの手術をし、5年経過した検査の結果、無事、卒業といわれた。

 その時にも、自分が新しく生まれ変わったような気がして、飛び上がりたいほどの嬉しさだった。

 ガンを克服すべく、主治医のいいつけを忠実に守った5年間であった。

 ただひたすら前を向いて、神さまに祈りながら日々を過ごした。

 再発や転移の恐怖におびえた日々もあったが、人間の生き死には自分では決められない。すべて神さま任せと自分にいいきかせた。

 この5年の間に夫の従妹が肺ガンで、夫の弟の妻も肺ガンで、実弟が悪性リンパ腫で天にめされた。友人知人は数えきれないくらい。

 亡くなった人たちは闘病中、精一杯、前を向いて頑張っていたことを知っている。

 私は何とか生かされた。

 残りの人生、亡くなった人の分までも、毎日新しい心で、精一杯生きていきたい。