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クリスマスのメッセージ

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

 あるとき、教会の若者を連れて、身体障がい者の施設に泊まりで訪問したことがあります。若者同士はすぐに親しくなり、施設の若者の世話をし、語り合い、歌い合いました。

 そして、せっかく訪問したのだから、同じ若者だからと、室内野球の試合をすることになりました。そして、どうしたら楽しい試合ができるだろうかと考えた結果、教会の若者の方はハンディとしてボールを打ったら膝をついて1塁まで行くこと、守るときも常に膝をついていることを決め、試合が始まりました。

 初めは、教会の若者が守ります。ところが施設の若者は、ボールを打ったとき、這い這いをしながら一生懸命1塁に行くのです。すると、守っていた一人の教会の若者は、急に這い這いをしながら守りに入りました。そして瞬く間に、教会の若者全員が這い這いをし始めたのです。その後、試合は親善試合的な雰囲気から本気モードになり、点を取りつ取られつ白熱し、1点差で教会の若者は負けてしまいました。

 試合後、教会の若者はこう施設の若者に話しかけました。「今日は、初めて這い這いしたから負けました。次に来たときは、しっかり這い這いをマスターするので、勝ちますよ。悔しいなあ」それに答えて「また来てくださいね。次も私たちが勝ちますから。」と、お互いにニコニコ顔で話していたのです。

 私はその光景を見て、一人の若者の行動はすごいなあと感じました。同じ条件でないと、真剣勝負はできないことを感じ、すぐにそれを実践し、互いに力の限り戦い、充実した時間を過ごせることになっていったからです。

 ここに、クリスマスの意味、神が人間と同じ姿を取られたことの意味を感じ取ったのでした。