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母のぬくもり

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

 私の母は、私が物心ついた頃には、豆腐売りの行商をしておりました。朝早く起床し、豆腐を作り、竹輪やその他の練り製品を卸売業者で仕入れ、それらをリヤカーに載せて出かけていました。昼過ぎに帰宅し、昼食を取り、暫く昼寝をして、また次の日の準備をする毎日でした。

 母の早起きの習慣は、行商の仕事を辞めてからも変わりませんでした。私が神学生の時、帰省した際の事です。私は、実家から10キロほどの距離の所にある修道院のミサに参加していました。自転車で通っていましたので、神学生の養成の家での起床時刻より早めに起き、身支度をして出かけていました。そのような時に母は、私が起床するより少し前に起きて、出かける私の為にお茶を用意してくれていました。それは、私が司祭になって帰省してからも変わりませんでした。

 その後、驚いた事は、Uターンして故郷に帰り、介護職に就いた兄の為、母が毎日、弁当を作っていた事です。兄の仕事は、シフト制ですので、早番、遅番、夜勤などがあります。早番の時には、かなり早く出かけることになります。そのような時でも母は、兄の出発の時刻に合わせて、それに間に合うように起床し、弁当を準備しておりました。年老いた母にとって大変な務めだったと思いますが、愚痴る事なく、喜んでやっておりました。

 母は、いつも私達子供と共にいる人でした。母を通して、「私は世の終わり迄、いつもあなた方と共にいる」(マタイ28・20)と言われたイエス様の愛を見せて頂きました。

 そのような母も今、老人ホームでのんびりと余生を送っております。この世を旅立つ時迄に、「いつも共にいて下さる」イエス様の愛を、知らせる事ができたらと思う日々です。