父のぬくもりって何があるのかなと思い巡らす機会が与えられた今回のテーマ、2年前に亡くなった父の生き方が見えてきたような気がします。
私の父は、小さいときに両親と死に別れ、家庭の暖かみを知らずに育ったせいか感情のコントロールが出来ず、怒りにまかせて、私を押し入れに入れて外から鍵をかけ、しばらく出さなかったり、万年筆のペン先で私のおしりを突いたりと過激でした。
でも、私が大きくなると、私が長男ということもあり、結構大人扱いをしてくれました。こんなこと小学校の高学年の子供に親が相談するかなあと思うときもありました。一人の人間として経験がないまでも認めてくれていた気がします。
そして、そのことはテストの点のことでもありました。あるとき、学校のテストの点が悪くて、父にどう言って謝ろうかと思っていたら、父は意外にも「良い成績の時は、見せなさい。悪い成績の時は、おまえのつらい顔を見たくないから、私に見せる必要はない。おまえが自分で反省するだろうから、それで十分だ」と話してくれたのです。だから私は成績のことで、父から文句を言われたことがありません。良い点しか父に見せないのですから。
また、高校の通知表に、人付き合いが悪いと書かれたときにも、「それは先生の立場で書いてあるものだ。おまえの立場で書いていないから気にする必要はない」と、いろいろなとらえ方があることを示してくれたのです。
父のこれらの態度は、一人の人間として、地にしっかりと足を付けて人生を歩むことの大切さを私に示してくれました。
ものごとを大きく捉えるまなざしが、一人の人間を成長させる、そんな暖かさを示してくれたのです。