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時のしるし

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ

 神さまは、出来事を通してわたしたちに語りかける。何かが起こったとき、出来事の表面だけを見て自分の都合のいいように解釈するか、それとも出来事の前に立ち止まり、出来事に込められた神さまからのメッセージを読み解こうとするかによって、わたしたちの人生は大きく違ってくるだろう。

 たとえば、思いがけない成功を収めたり、願ってもない出会いに恵まれたりして、人生が大きく展開してゆくとき、わたしたちはつい、「これは自分の実力だ。自分はなんてすごい人間なんだろう」などと都合のよい解釈をしてしまう。しかし、それでは傲慢に陥り、やがて大きな失敗を犯すことになりかねない。色々なことがうまくゆく時こそ、出来事の前に立ち止まり、神さまからのメッセージに耳を傾けるべきだ。成功を恵みとして神に感謝し、なぜ神さまはこのような成功を与えてくださったのか、自分が果たすべき使命は何なのかと思い巡らして進むなら、躓くことはないだろう。

 逆に、思いがけない失敗をしたり、病気や事故に見舞われたりした時、わたしたちはつい「私は何と不幸な人間なんだろう。もう終わりだ」などと考えてしまう。だが、そんな時にも、出来事の前に立ち止まり、謙虚な心で神さまからのメッセージに耳を傾けるべきだろう。神さまは、その失敗を通してわたしたちを正しい道に引き戻そうとしているのかもしれないし、人生を見直すチャンスを与えてくれたのかもしれない。諦めるには早すぎるのだ。

 神さまは、出来事を通してわたしたちに語りかける。出来事の前に立ち止まり、神さまからのメッセージに耳を傾けることを日々の習慣とするならば、人生の道のりは、いまよりずっと確かなものになるに違いない。