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自然とわたし

新井 紀子

今日の心の糧イメージ

昨年から今年にかけての冬は、40年ぶりの大雪でした。動物小屋の屋根には2メートルの雪が積もり、つぶれそうでした。羊たちの餌場への通路は、投げ上げられた雪で高い壁になりました。毎日毎日、雪、雪、雪。

そんな日々の中で、親類や友人が天国へ旅立ちました。

昨年の暮れに夫の兄が亡くなりました。

「なんだか具合が悪いから、病院へ行くわ」。夫と電話で話した後、入院して3日目に逝ってしまいました。

20年来の友人でラジオのパーソナリティをしていたYさんは、「風邪をこじらせたので、番組を休みます。」そんな連絡があってから数日後に亡くなりました。

昨年の秋、東京に従姉妹のHさんを見舞いました。

「北海道では、例年より1か月も早く雪虫が舞っているのよ」と、そんな会話をしました。彼女は東京で大雪が降った直後に亡くなりました。

大沼のデザイナーWさんの母上は、骨折で入院、そして退院して2日後に自宅で目を閉じました。

北海道は、四季の移ろいが実感できます。特に冬から春への移ろいは急激です。雪雲に覆われていた空から強い太陽の光がさしだすと、春の訪れです。木の根元にできた雪の穴が大きくなると、もうすぐ春だと嬉しく思います。水芭蕉の花が咲くと、木の花は一斉に咲き始めます。こぶし、山桜、山法師の花々。6月になると木々の葉は青々と輝きます。草も生え、我が家の羊たちはその草を食べて太っていきます。セミがうるさいほど鳴く暑い夏。紅葉の美しさに息をのむ秋。木からすべての葉が落ちると雪虫が飛びまわり、やがて雪が降り出します。

亡くなった方たちは自然の移ろいとともに天国に旅立ったと思えるのです。私もそんな自然な死に方をしたいと思っています。