2018年09月07日の心の糧


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自然とわたし

村田 佳代子

今日の心の糧イメージ 私が暮らす鎌倉という町は、首都圏ながら自然環境に恵まれている。南は海に開け北は寺院が多いので、背後にそれぞれ山を抱え、山々の尾根伝いにハイキングコースが張り巡らされている。市内の建物には高さ規制があるため、大型の集合住宅より依然として一戸立ちの庭付き住宅が多い。市が補助を出しブロック塀より生け垣を奨励していることもあり、家々の庭の草花や芝の緑が覗けるのも街歩きの楽しみで、四季折々の自然の移り変わりを肌で感じる事の出来る町である。

遠く800年以上も前に源頼朝が幕府を開き街並みを整えてから、殆ど地図が変わらない旧市内、街の中央を走る道を若宮大路という。海から鶴ヶ岡八幡宮に至る2キロの道で3か所に鳥居があり、古からの参道でもある。

1の鳥居は関東大震災で折れた跡が痛々しいが、足元の植木がうっそうと茂る夏、吹き抜ける海からの風に、私が住民になる以前、東京から海水浴に訪れた懐かしい子供の頃を思い出させてくれる。

2の鳥居から3の鳥居までは歩道専用の1段高くなった参道が続く。史跡段葛といい、頼朝が政子の安産祈願のため造営させたとの事だ。桜の並木道で、近年それまでの老木が全て植えなおされた。 満開の花のトンネルとなる春、紅葉しハラハラと桜葉が散り頻る秋、季節の移ろいの美しさを堪能出来る。

段葛の中ほど、東側に建つカトリック雪ノ下教会の正面にはめ込まれた「絶えざるお助けのマリア様」のモザイク画を見上げると、知らず知らずのうちに造り主への感謝が湧いてくる。

冬、段葛に立って月の出を待つ。西の空が重い赤から青紫色に変わると、カトリック雪ノ下教会の銀色の屋根が鈍く光り月が上る。

私は絵筆をとり感謝を込め、様々な自然を描き留める。