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信仰の核心

堀 妙子

今日の心の糧イメージ

ある日、青少年についてのセミナーがあり、参加した。

その日は、ヨーロッパ修道院の父と言われた聖ベネディクトの双子の妹、聖スコラスチカの記念日だった。講堂には、多くの司祭、修道者、一般の方々が参加しており、活気に満ちていた。この日、わたしは不思議な体験をした。

午前の部が終わり、わたしはお弁当を食べていた。わたしが座った机の前を、お年を召したシスターが通りかかった。そのシスターがなぜか、わたしに「あなた誰?」と聞いた。名前を名乗ってから、「だいぶ前、カトリック系の職場で働いていました」と私が言うなり、「あなた石山さん知ってる?」「いいえ、知りません」「ああ、ちかちゃんは結婚したから姓が変わったんだわ。今日はちかちゃんの洗礼名、聖スコラスチカの記念日だから祈っていたの」。

「ちかちゃん」と聞いて、シスターは、佐々木ちかえさんのことを言っているのだと分かった。「シスター、その方は私の友人です」と言った。シスターは「ちかちゃんのために、ずっと祈っているのよ」と、さらりと言った。

家に戻り、その友人に電話をしたところ、14歳の時に、ミッションスクールでそのシスターから、1年間、洗礼を受けるための勉強をしたことを聞いた。洗礼を受けてからは、校内で挨拶する程度で、卒業してからは、特に交流があったわけではない。友人は洗礼を受けてから、55年経過していた。シスターのお年は87歳。このシスターは、友人が14歳の時から、その後も変わりなく、55年間祈り続けている。これからも永遠の神に向かって祈り続けるのだろう。

アビラの聖テレサの言葉、「すべては過ぎ去る。神のみ変わらない」という言葉が、信仰の核心のように胸に迫ってきた。