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人生を変えた言葉

土屋 至

今日の心の糧イメージ

私の人生を変えた言葉というと、やはり聖書の言葉を思い起こすでもそれはイエスの言葉ではない。イエスに反論して述べたマタイ福音書15章の「カナンの女」の言葉である。(15・21~28)

イエスがカナン地方に行ったときに、重病の娘を持つその地の女性がイエスに助けを求めてきた。けれどもイエスの応えは冷たかった。「私はイスラエルの失われた羊のところに遣わされた」つまりあなたのような異邦人のために遣わされたのではないといわれる。

 

でもその女性は、くじけずになおもイエスにくい下がったが、イエスはその女の願いを聞かれず「子どもたちのパンを取って小犬にやってはいけない」といわれる。

でもその女性は冷たい言葉にもめげずに言い返した。「主よ、ごもっともです。しかし、小犬も主人の食卓から落ちるパンくずはいただくのです」と。

私はこの言葉に驚いた。この女性はイエスのいわれることに反論している。こんな聖書の箇所があるんだと、それを初めて知ったときには天と地がひっくり返るくらい驚いた。

しかし、その反論のしかたは、非難と攻撃の口調ではない。イエスのいわれることをいったん受け入れ、しかも小犬の位置に身を低くしながら述べている。この女性の冷静さと謙遜さ、そして知恵と凛とした態度、初めに感じた驚きは感動に変わった。

イエスもこの女性の言葉と態度に感服し「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。あなたの願いどおりになるように」と述べられた。この女性の言葉がイエスを変えたのである。

この「カナンの女」の言葉は私も変えた。まずイエスに親しみを感じるようになった。そしてこの女性の謙遜で深い信仰の姿にあこがれを持つようになったのである。