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人生を変えた言葉

末盛 千枝子

今日の心の糧イメージ

私が大学に入学した時のこと、母が私に、「どこの大学にも、カトリックの集まりがあるはずだから、そこに籍だけでも入れておきなさい。人生に悩んで、親ではなく、誰かに相談したいと思うことが必ずあるはずだから。」というのです。

私は、時代的なこともありましたし、洗礼を受けたのは、小学生の時でしたし、自分がキリスト教徒であることを、しかもカトリックであることをなんとなく不自由で、うしろめたいことに感じていました。でも、面と向かって母に反対するほどの勇気もなく、仕方なくという感じでカトリック栄誦会というクラブに入ったのです。ところが、そこで出会った学生たちは、私が恐れていたような堅苦しい人たちではなく、実に気持ちのいい人たちでした。

そして読書会や定期的にあった集まりには、いろんな講師もお見えになりました。そんなある日、沢田和夫神父様がお見えになって、たった一言、「愛はすすめではなく、掟です。」と静かに、しかし、強い口調でおっしゃったのです。そのときのショックは忘れられません。脳天に一撃を食らうというのは、こういうことを言うのだと思ったほどでした。

そして、もう1つ、その頃「キリストと個人的に親しくなりなさい」と言われたことがありました。この言葉も、本当に深く胸の奥に届きました。

これらの言葉を通して、洗礼を受けてから10年以上もたってやっと、おずおずと、すこしずつ自分もカトリックの世界に入っていった、入り直したのだと思います。

この3つの言葉が、私にとっては生涯忘れられない、人生を変えた言葉だったのだと思っています。私は幸い、今もそれらを大事にして、生きていこうとしています。