〈あなたがたのために場所を用意したら、戻って来て、あなたがたをわたしのもとに迎える。こうして、わたしのいる所に、あなたがたもいることになる〉ーーー聖書を閉じた神父様は何かを確信するように、私に語りました。「あなたは最初、苦労するかもしれません。しかし、この御言葉から感じるのは〈逆転の時が来る〉というメッセージです」。その言葉に私は〈挑戦してみよう...〉という決意を心の中で呟いて、家路に着いたのでした。
特別養護の重度の障がいをもつ高齢者の介護は想像以上にハードで、2年間悪戦苦闘した末、挫折が待っていました。自分の至らなさから失格の烙印を押され、同僚の誰とも話せない屈辱の日々が続きました。
やがて、上司の厚意により自分の性に合うデイサービスの部署に異動して15年働き、介護職を卒業してからは文筆・司会・イベントの企画等、徐々に階段を上るように自分らしさが花開いていきました。
とはいえ、現在の私がどんなに充実していても、たった1人で外のベンチに腰かけて休憩時間を過ごしたあの頃の自分と、信じ続けたイエスの〈あなたがたのために場所を用意しにいく〉という御言葉を忘れずにいよう、と心に誓っています。