目覚める

村田 佳代子

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聖書には「目を覚ましていなさい。あなた方は、その日その時を知らないのだから」というフレーズが、マタイ、マルコ、ルカ、と3人もの福音書家により記されています。

そして、「その日その時は、誰も知らない。天使たちも子も知らない。ただ、父だけがご存知である。」として、物事がいかに思いがけない時に起こるのか覚悟を持つようにと私たちに忠告しています。自然の災害が突然襲ってきたり、テロの襲撃事件などが日常の現実では、まさに納得です。

一方で、「目覚める」というのは それまでは眠っていたわけですから、ずーっと緊張して目を覚ましていた状態とは微妙に違います。「目覚める」とは覚醒することですから、辞書で「覚醒」とひいてみますと、「迷いから覚めること」「自分の非に気付くこと」などの意味にひろがることが解ります。

わたしたち人間にとって、現実では睡眠は健康を保つために大切であり、睡眠時間や睡眠の質が云々されるほどです。目を覚まし続けることは不可能です。むしろ、ぐっすりと快適な睡眠をとって気持ち良く目覚めるのは、最良の健康法でしょう。

神様はきっと 人間がつい居眠りをしたり 夜更かしや朝寝坊など、だらしなく眠り呆けてしまうことをよくご存じなので あえて「目を覚ましていなさい」と厳しく警告なさったのでしょう。そして、眠りから目覚めるその時をこそ、しっかり見ていて下さるように思います。自分を甘やかして言い訳をしたり 困難を後回しにしたりすることなく謙虚に反省し 勇気を持って悔い改めるかどうかをです。

一日を振り返り、感謝の祈りで眠りにつき、翌朝目覚める時、今日の予定や出会いを思い巡らせ、自分の迷いや至らなさを認め、神様の見守りを願う私です。

目覚める

中井 俊已

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「英雄的瞬間」という一般にはあまり知られていないことを、私が勤務していた学校では、小学1年生から高校3年生までの子どもたちに、毎年数回繰り返し、教えています。

それは、この「英雄的瞬間」が子どもたちの健全な育成だけでなく、大人になっても非常に大事なものだからです。それに、1度聞いて理解しただけでは役に立たず、実行し習慣づけるために、何度も繰り返すことが必要だからです。

「英雄的瞬間」とは何でしょうか。それは、何か良いことをするために自分の弱さと英雄的に戦う短い時間のことです。

この時間は短ければ短いほど良いとされます。できれば一瞬。この瞬間に素早く英雄的に戦い、勝ちを収めれば、意志は強く堅固になり、多少の困難にも負けず、自分の目標を達成できる人になっていきます。

例えば、勉強や仕事をやり始める時の英雄的瞬間。やりたくないな、怠けたいなという気持ちに打ち勝ち、サッと取りかかる。すると、その後の勉強や仕事はスムーズにいきます。

学校では、まずは「朝の英雄的瞬間」への取り組みを勧め、私も努力してきました。

 

朝、決めていた時間に目が覚めたら、グズグズしないで、パッと寝床から跳ね起きる。それによって、この戦いに勝つことができます。

「朝の英雄的瞬間」は、1日に1回ですが、ふとんの暖かさが恋しい真冬でも、肉体が疲労困ぱいする日でも毎日続けるのです。すると、意志は、日ごとに強く堅固になっていきます。

こうして、一日の始めに勝利を収めれば、他の場面でも自分の怠け心に勝てるようになり、その後の祈り、勉強、仕事などは実行しやすくなります。子どもだけでなく、大人にもお勧めできる習慣です。


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