2018年07月21日の心の糧


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目覚める

片柳 弘史 神父

今日の心の糧イメージ 「自分探し」という言葉があるが、自分がいったい何者なのか、なんのために生まれてきたのかを探し出すのはとても難しい。私自身、青年期に迷い始めてから神父の道にたどりつくまで10年近くかかった。

高校生で悩み始めたとき、最初に考えたのは弁護士になることだった。法律を使って、貧しい人たちや苦しんでいる人たちの役に立ちたいと思ったのだ。弁護士であれば経済的にも恵まれ、社会的地位も高く、申し分がない。

ところが、大学3年で父が突然に亡くなったとき、ふと心に「わたしの人生はこれでいいのか」という迷いがこみ上げてきた。

迷いに迷った私は、手がかりを求めてインドのマザー・テレサのもとへ旅立った。彼女に会えば、自分の求めているものが見つかるのではないかと思ったからだ。

まったく思いがけないことに、マザーからは神父への道を勧められた。だが、いくらマザーから勧められたからといって、そんなに簡単に自分の人生を決められるものではない。迷いはますます深くなってゆくばかりだった。

日本に帰った私は、修道院で行われる黙想会などに参加し、「お前が本当にしたいことはなんだ」と自分自身に問いかけ、「あなたは私に何を望んでおられるのですか」と神に問いかけ続けた。利害損得を一切考えず、ただ問い続けた結果、最後の最後に心の奥底から「あなたは神父になりなさい」という声が聞こえたような気がした。その声を聞いた翌日、わたしは修道会に入会願いを書き、神父への道を歩み始めた。頭で考えても、人に聞いても、自分の使命は見つからない。自分の心に問いかけ、神に問いかける中でこそ使命は見つかる。これからも、日々、自分の使命を問いながら生きてゆきたい。