ところが、大学3年で父が突然に亡くなったとき、ふと心に「わたしの人生はこれでいいのか」という迷いがこみ上げてきた。
迷いに迷った私は、手がかりを求めてインドのマザー・テレサのもとへ旅立った。彼女に会えば、自分の求めているものが見つかるのではないかと思ったからだ。
まったく思いがけないことに、マザーからは神父への道を勧められた。だが、いくらマザーから勧められたからといって、そんなに簡単に自分の人生を決められるものではない。迷いはますます深くなってゆくばかりだった。
日本に帰った私は、修道院で行われる黙想会などに参加し、「お前が本当にしたいことはなんだ」と自分自身に問いかけ、「あなたは私に何を望んでおられるのですか」と神に問いかけ続けた。利害損得を一切考えず、ただ問い続けた結果、最後の最後に心の奥底から「あなたは神父になりなさい」という声が聞こえたような気がした。その声を聞いた翌日、わたしは修道会に入会願いを書き、神父への道を歩み始めた。頭で考えても、人に聞いても、自分の使命は見つからない。自分の心に問いかけ、神に問いかける中でこそ使命は見つかる。これからも、日々、自分の使命を問いながら生きてゆきたい。