目覚める

阿南 孝也

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グローバル化が叫ばれている昨今ですが、海外の大学に留学を希望する日本の若者の数が伸び悩んでいると聞き、とても残念なことだと思っています。高校卒業と同時に海外の大学に進学することは、英語での授業が理解できるだけの語学力を身に着けるという面からも、また年間数百万円と言われる授業料や生活費の面からも、ハードルが高いと言わざるを得ません。ですから、私は日本の大学を卒業した後に、奨学金を得て海外の大学院に進学するという選択肢を持つ若者が増えてくれることを期待して、生徒たちに推奨しています。

海外の大学への進学に際して、高校での学業成績の提出が要求されるようです。卒業から数年を経て、毎年何人もの卒業生から英文の成績証明書の発行依頼が届きます。卒業生たちが、新たな挑戦をしようと歩み始めていることを嬉しく思いながら、一枚一枚の成績証明書に、校長名のサインをしています。

留学を希望する卒業生たちのことです。高校在学中から英語の成績が良好だった生徒が多いのは確かです。ところが、語学が苦手でやっとのことで単位を取得し卒業した生徒も珍しくないのです。そのような時、驚きと嬉しさが込み上げてきます。彼らは大学の4年の間に、どのような経験や出会いを得たのでしょうか。語学習得にも目覚め、海外という新しい環境に身を置く決意をした彼らに敬意を払い、成功を祈りながらサインをします。

子どもたちが神からいただいた賜物に気づき、磨き伸ばすよう導くことは大人の大切な役割です。高校在学中には気づかせてあげることができなかったかもしれませんが、卒業後の飛躍の土台作りに少しでも関わることができたとすれば、教師冥利に尽きるというものです。

目覚める

湯川 千恵子

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以前、私は心配性で臆病でした。自信がないので、馬鹿らしいと思う迷信もきっぱりと否定できず、世間的な考えに合わせて生きていたように思います。ところが、たまたま長女を入れたカトリック幼稚園で、万物の創り主である神の存在を教えられ、その神は私たち一人ひとりを慈しむ「愛の神」と知って、心の拠り所を得た思いでした。何でもお見通しの神の前では、人目を気にして取り繕っている私が丸見えで、ありのままの自分をさらけ出すしかありません。そんな私を無条件に受け入れて下さる神の大きな愛に気づいた時、私は本当の自分に出会った気がしました。

愛そのものである神をイエス・キリストは「天の父」と呼んで、人々に分かりやすく例え話でその愛を話し、また病人を癒して神の愛と力、憐れみを伝えました。イエスの救いの言葉や行なった奇跡の数々、十字架での死と復活、聖霊降臨とその後の弟子たちの働きなどを聖書で知れば知るほど、神への信頼とイエスへの愛が深まって恐れや不安が消え、私は明るく自由な気持ちで積極的に生きられるようになりました。

そんな折も折、ハヤット神父様から「ラジオ・心のともしび」への執筆を依頼されました。4人の子育て真っ最中の主婦の私には無理だと思いましたが、神父様の熱意にほだされてお引き受けしました。それ以来、毎月いただくテーマと格闘しています。何度も止めたいと思いましたが、神父様の福音宣教への情熱が私を押しとどめました。そして、家事の合間にテーマを思い巡らす中で、日常の中に小さな幸せをもたらす神の愛の働きに気づき、その喜びと感動をラジオを聴いて下さる方と分かち合えるのが嬉しくて38年間書き続けています。いつも共に働いて下さる神に感謝です。


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