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愛でる

植村 高雄

今日の心の糧イメージ

美しいものを日常生活で愛でる習慣のある人は本当に幸せ者、その対象が美しい薔薇でも異性でも大自然でも同じです。愛でる時のあの感情は、この世の天国だと思います。特に薔薇の香りは優雅で、神秘の世界を私にもたらします。

数千年前から愛読されている旧約聖書の「雅歌」は、素晴らしい愛の世界を語りつくしていて、心理療法でも活用されています。ここで語られる言葉と、その奥深い心は、愛とは何かに苦しむ人に大きな知恵を与えています。この雅歌を繰り返し読みますと「人の身体は神の神殿」であることが自然に理解されてきます。

厳しいこの世を生き抜く時の愛の孤独感は人を絶望させますが、自分の身体に、愛そのものであり宇宙の創造主でもある神様が住んでおられると理解した時、人はどんな困難が迫ってこようとも、堂々と明るく元気に生き抜くものです。これが信仰心というものでしょう。

医学や心理療法の理論だけでは処置出来ない人間の現実ですので自分の身体に住んでおられる神様を心から愛おしく思い、信頼できる人は何と幸せな人間でしょう。私もその一人ですが、日本の大学時代の学友は、クラス会のたびに「おまえは単純な人間だね」と、いつも笑います。私も今は、「そうだね」と笑って応え、心からそう思っています。

さて、「愛でる」という感情は、人間の心と体をリラックスさせ、日々の健康と生き甲斐に大きな影響を与えます。不安感とか怒り、身体症状、憂鬱なことが多発する日常生活でのストレスは人の心と身体を破壊しますが、意識してこの「愛でる心」を優先して楽しみますと、顔つきも体も優雅な雰囲気を醸し出します。

薔薇の香りを音楽と共に楽しむ短い時間は、私の日々のオアシスです。