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愛でる

シスター山本 久美子

今日の心の糧イメージ

春を迎え、自然界は新しい命の息吹に満ちています。美しい自然は、私たちの「愛でる」「味わう」という感性を育んでくれます。そして、私たちの体や心にも命の息が注がれ、新たにされるようなすがすがしい気持にされます。

四季のある日本には、季節ごとに変化する豊かな自然を崇拝し、「森羅万象に神が宿る」という独特の概念があります。食事の前後に「いただきます」「ご馳走様」と手を合わせる美しい習慣も、自然の恵みを愛で、感謝するという精神から生まれたものでしょう。

数年前には、『トイレの神様』という興味深いタイトルの歌も流行りました。あらゆるところに神様が存在し、それを崇拝しようとする精神と信仰心は、キリスト教の信仰にも通じるように思います。

旧約聖書の創世記は、唯一の神様がこの宇宙のすべてを創られた創造物語を語っています。神様は、すべてのものを創られ、その一つひとつを大切にいつくしまれます。私たちが、被造物に込められた創造主の想いやいつくしみを味わい、感謝すること、その偉大な創造の業を讃えて、神の創造物の一つひとつを大切にして愛でることは、創造主なる神様の私たちへの願いでもあり、キリスト者の望む姿勢でもあります。

手入れされていない雑草だらけの庭も、ほこりだらけの木々の葉も、太陽の光に照らされる時、きらきら光って美しく輝いています。被造物である私たちが神様の命をいただいて、その似姿として真に生かされている時、たとえ色あせていたり、傷や穴だらけであっても、そのままで大切に生かされていること、共に命を分かち合って生きるようにという創造主の深い愛を思い起こさせてくれます。