今日という日は、不思議な性質を持っている。これまでの人生を振り返ったとき、今日という日はひとつの到達点だ。経験を積み重ね、知識を蓄えながら今日という日まで到達したと考えれば、今日の自分はこれまでの人生の集大成であり、これまでで最高の自分だと言える。
それと同時に、今日という日は残りの人生の出発点でもある。シスター渡辺が言うとおり、今日こそが残りの人生で一番若い日であり、今日以上に気力、体力が増す日は決してやって来ない。これからの人生を思うときにも、今日の自分こそが最高の自分なのだ。これまでの人生の到達点であり、これからの人生の出発点である今日こそが、自分にとって人生最良の日。この最良の日を、先のことをくよくよ思い悩んだり、過去のことを悔やんだりして無駄に過ごしてはもったいない。そう思えば、今日という日に感謝して、いますぐ何かを始めようという気になってくる。
もしわたしたちに先のことを予知する力があれば、「いや、今日よりもっといい日がやって来るから、その時まで待とう」ということもできるだろう。だが、残念ながら人間には、たった1分先に起こることを予知する力さえない。
与えられた今日を最良の日と信じ、今日から新たな一歩を踏み出したい。