私はすぐに日本へ帰ってきて、治療するように勧めました。
娘は帰国し、憂鬱そうな顔をして我が家へやってきました。その姿を見て私は大変驚きました。普段から細いのですが、さらに細くなっていて帰国できたのが奇跡のように思えたからです。顔はもちろんのこと、首、背中、手足まで体液がやけどのように出ているのです。すぐに、病院へ連れて行きました。「これはひどい。治療には時間がかかりそうですね。」
食事は、アレルギーが出ないように気を付けました。布団、シーツも丸洗いできるものに変え、毎日洗いました。アトピー性皮膚炎に良い温泉にも通いました。そうして、雪が降るころには少しづつ眠れるようになってきたのです。すると食欲が出てきました。体力もついてきたのでしょう。雪の中を散歩したり、カントリースキーで歩けるようになりました。雪がとけるころ、ニュージーランドへ戻っていきました。その後、さらに半年が経ち復職できたのです。
「アトピーが良くなって、8キロも太ったの。自分へのご褒美に日本でトレンチコートを買うの」
娘は真新しいトレンチコートを嬉しそうに抱えて戻っていきました。かの地でコートの裾を風になびかせて、颯爽と新たな一歩を踏み出していることでしょう。