そのおばさんが亡くなると、その貯金は、女子大生の為の、返済の必要がない奨学金になった。シスターに託された貯金が一億円。
ただ黙々と働き、ひっそりと生きたおばさん。
死後、発表され、今、多くの学生がその恩恵を受けている。
このおばさんの話は、私の人生のいろいろな出来事の中でも衝撃的だった。今の世の中は、「結果を出す」「世界的な存在になりたい」などの言葉が飛び交っている。日々、結果を出すために、資質や才能とともに、並大抵ではない努力や自己犠牲を払っている人々に対して、私は心から尊敬をする。しかし、私にとって、このおばさんの生き方は、どのような名声や地位を得た方々よりも心に響く。
このお掃除のおばさんの沈黙、この人ならと託されたシスターの沈黙。この世は天国に行くための訓練所なのだと思った。無名の存在として生きた、お掃除のおばさんが天国に着いたとき、すぐにマリアさまに出会われたと、私は信じています!