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新たな一歩

松浦 信行 神父

今日の心の糧イメージ

私はよく子供へのお話に絵本を使いますが、この頃気に入っている絵本があります。それはジョン・バーニンガム作の「ガンピーさんのふなあそび」というものです。

ガンピーさんが船遊びに出かけようとすると、色々な動物と人間とが一緒に連れてってと頼みます。ガンピーさんは「連れて行く条件は、仲良く乗ること」と応えます。

しかし、すぐにごたごたが起こって船がひっくり返ってしまいました。野原で体を乾かし、皆でガンピーさんの家にいってお茶とお菓子を食べ、最後にガンピーさんが「また乗りにおいでよ」と誘う話です。

そこが問題です。またの機会があっても、そんなにすぐに本性が治るものではありません。次の機会にも、きっと船はひっくり返るでしょう。同じことの繰り返しです。

本当にそうですか?と子供達に尋ねます。

じつは、ひっくり返ったという経験が、前回と違うのです。そんな人間の経験の積み重ねをこの絵本に感じながら、読んでいます。

高校生の夏休み、同じようなことが起こりました。友人と学校の山小屋へ行くことになりました。ところが、大雨で、バスが途中までとなりました。その後は歩いて山小屋に向かったのですが、行きと帰りでは同じ距離なのに、時間の感覚が違うのです。

行く時にはものすごく時間がかかったのに、帰りはすぐに到着した気がする。なぜだろう?と思っていました。でも、先ほどの絵本から見えてきたものがあります。経験することによって、同じ状況でも、違いを生み出すというものです。

新たな一歩は、新しいものへの一歩であると同時に、同じことでも積み重なっていくことによって、また違った新しさを生み出すことがあるのでは、と、そう考えるこの頃です。