そこが問題です。またの機会があっても、そんなにすぐに本性が治るものではありません。次の機会にも、きっと船はひっくり返るでしょう。同じことの繰り返しです。
本当にそうですか?と子供達に尋ねます。
じつは、ひっくり返ったという経験が、前回と違うのです。そんな人間の経験の積み重ねをこの絵本に感じながら、読んでいます。
高校生の夏休み、同じようなことが起こりました。友人と学校の山小屋へ行くことになりました。ところが、大雨で、バスが途中までとなりました。その後は歩いて山小屋に向かったのですが、行きと帰りでは同じ距離なのに、時間の感覚が違うのです。
行く時にはものすごく時間がかかったのに、帰りはすぐに到着した気がする。なぜだろう?と思っていました。でも、先ほどの絵本から見えてきたものがあります。経験することによって、同じ状況でも、違いを生み出すというものです。
新たな一歩は、新しいものへの一歩であると同時に、同じことでも積み重なっていくことによって、また違った新しさを生み出すことがあるのでは、と、そう考えるこの頃です。