ああ、こんな洋服も持っていた。こんなバッグも持っていた、ああ、ありがたいなと、ひとつひとつの物に感謝の心が湧き起こるのだった。
一体、この気持ちは何だろうか。
新しく生まれかわったようなこの気持ちは何だろうかと考えた。
入院中の2週間、外界と隔離され、会う人は夫と息子。病院の医師と看護師。
そんな中で私が心のよりどころとしたのが、夫がベルギーで買って帰ってくれた祠に入った木彫りのマリアさまだった。
朝、目が覚めると、祠を開けてお祈りし、昼間も気持ちが不安になると祠を開け、夜にも「おやすみなさい」と、祠の中のマリアさまにお祈りする。
また、私が肌身離さず衣類につけているイエズス、マリア、ヨゼフさまのメダイにも手の平で触りつつお祈りする。
すると不安が消え、何か大きなあたたかいものに包まれたような気持ちになるのだった。
その2週間のお祈りの中で、私は心が清められ、新しく物を見る目が養われたのではないかと思った。
病後の一歩を思い出すと、今も胸がいっぱいになる。