2018年04月05日の心の糧


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新たな一歩

シスター山本 久美子

今日の心の糧イメージ 鶏の雛が卵の殻を破って「新たな一歩」を踏み出そうとする時、親鳥はその卵の変化に気付いて外側から殻をつつき、その相互作用で雛が誕生します。そのような相互関係とタイミングを、「禅語」では、「啐啄同時」と云うそうです。人間の赤ちゃんも誕生する時、お腹の中の赤ちゃん自身と母親が同時に努力することによって、尊いいのちが産声を上げることができます。

私は、20代初めに、人生で初めて、自分で進むべき道を決め、この世に生を受けた時から、両親のもとで過ごした、なつかしい家を後にし、自分の足で新たな世界に踏み出そうとしました。その時、ある人から「卵の殻をつついてあげることはできるけれど、殻から出てくるのはあなた自身よ」と励まされたことを思い出します。

ふり返ると、人生の大切な節目節目で、いろいろな形で私の殻をつついてくださった方々との出会いや関わりがありました。

その人々の助言やサポート、そして、祈りがあったからこそ、私自身、勇気を持って新しい一歩に挑み、自分の道を歩み出すことができたと、思っています。不安で一杯でしたが、「その一歩が道になる...ゆけばわかる」「案ずるより産むが易し」というような先人の言葉を、身を持って体験し、今は、そのような経験が私自身の誇り、強みにもなっています。

人生には、雛が卵から孵るように、外に向かって出ていくよう促される時が何度か巡って来ます。殻を破る時、それまで大事にしてきたものや価値観が覆されることもあります。しかし、私たちは、一人ひとりのすべての歩みを導き、固い殻をつついてくださる、真の親鳥である神様の御手の中で生かされているのです。