2018年03月09日の心の糧


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ゆるし・いやし

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ いつもわたし事ばかりで申し訳なく思いますが、体験談になるとどうしてもそうなりますので、お許し願いたいと思います。

わたしは新制高校の1期生として卒業すると、戦後の貧しい時代なので、直ぐに社会に出て仕事につきました。けれども、その仕事が出版業、いわゆるマスコミの仕事なので、右も左も分からず、苦労の末、ノイローゼになりました。夜は眠れず、昼も他人と話すことが怖くて、いわば対人恐怖症のような状態に陥りました。それを誰にも話さないので、余計にひとり悶々と悩んでいました。

それでも神さまに助けてくださいと祈り、表向きは普通に雑誌の編集や書物の校正などに従事していました。しかし、煩悶は極に至り、自殺しようとまで考えました。が、信仰と祈りがあったので、土壇場で踏みとどまりました。

そのとき、戦後よく読まれていて、赤本と呼ばれていた『家庭医学』という本が家にあったので、藁にもすがる思いで、それを繙いてみました。すると、ある頁に「抵抗療法」という言葉がありました。その字を見た瞬間、自分はずうずう弁だから、人の前でしゃべれないとか、大学出ていないから、知識人の著者に会えないとか、やる前から、自分はできない、自分は駄目だと思って、劣等感に陥り、そのためにノイローゼになっているのだ。何事も当たって砕けろ、の精神で、まず実践してみなければ、出来るか出来ないか分からないだろう、ということに気がつきました。それで、勇気を奮い起こして、他人と積極的にしゃべるように努めました。すると何とすらすらとしゃべれるようになり、元気を取り戻すことができました。

要するに人にはみな自然治癒力があるのです。