司会をしながら、ふと〈なぜここに集う皆は、こんなにも言葉が好きなのだろう?〉と問いかける自分がいます。その思いを巡らせてゆくと、〈誰もが独りきりの寂しい思いをしたくないという気持ちから、ぬくもりを求めるのだ...〉という感覚に至ります。おそらく私は生涯にわたり、詩の朗読による分かち合いの場を縁のある仲間と織り成してゆくでしょう。その声と言葉の空間には、お金では買えない〈何か〉が宿っているからです。
朗読会の中では、ある詩人が聴く人の魂を震わせる詩を読みます。また、ある詩人はユーモラスな詩を読み、聴衆の笑いを誘います。詩人が舞台を下りるとき、会場は拍手に包まれ、その光景に、司会の私はぬくもりを覚えます。朗読会の後の打ち上げでは皆が親しく食卓を囲み、それぞれが各々の街へと別れてゆく際、仲間同士で握手を交わす瞬間も、ぬくもりがあります。私は仲間と手を結ぶと、互いの心に言葉にならない思いが流れるのを感じ、いつもその余韻に浸りながら、家路へ向かって歩いてゆきます。