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ぬくもり

シスター 山本 久美子

今日の心の糧イメージ

時々、「木のぬくもりを感じる家」というようなキャッチコピーを、住宅広告のチラシの中に見かけます。現代社会では、「より便利に、より快適に」と、いつの間にか、私たちの生活空間は鉄筋コンクリートにビニールクロス、金属やステンレス、プラスティック等に覆われ、都市では、そういう環境が当たり前のようになってしまいました。しかし、そのような「物」に囲まれて過ごす現代人の私たちにも、目や心に優しく、気持ちに落ち着きや安定感を与えるのは、人工素材ではなく自然の天然素材であるということは明らかなことのように思います。

「木材は肌に優しく、木目の美しさは目を優しく包み...」と続くチラシを見ると、私は、神様が創られた自然の偉大さ、素晴らしさ、そして、その中に調和する存在として置かれた人や動物、他の命あるものとの関係性を感じます。神の創られた世界は本来、人がこの地球の法則に調和して、自然の流れに沿って生活し、心に「ぬくもり」を感じさせてくれるものです。

教皇フランシスコは、回勅『ラウダート・シ』の中で、「この地球は、『私たちの共通の家』」と表現され、「地球の脆さと人々との間にある密接なつながり、すべてが厳密に関連し合っている」ということを、私たちに思い起こさせてくださいます。

人間と地球のあらゆる創造物はオーケストラのような関係です。それぞれに持つ価値を再確認し、自己中心や人間中心主義に陥ることなく、互いに調和して生きる道を模索することによって、「私たちの共通の家」は、「目と心に優しく、気持ちにゆとりや安らぎを与える『ぬくもりの家』」に変えられるのではないでしょうか。