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誕生の喜び

新井 紀子

今日の心の糧イメージ

私たち夫婦は3人の子供に恵まれました。

最初の子供が生まれたとき、嬉しさとともに不安もありました。果たして私たちに子育てができるのだろうか。

ところが、子供が生まれると、夫は「この子は指が長いぞ。指が長いということは、音楽家にぴったりだ。弦楽器の弦という名前にしよう」と大喜びです。

私は出産のときの傷が化膿し、痛みで立っていられないほどでした。歩くこともできず、安静の日々です。その傷が治るまで1か月、生まれた子供とともに病院で過ごさなければなりませんでした。子供が授かったというのに、自分の傷の痛みで誕生の喜びどころではないのです。ようやく傷が回復し、子供と一緒に自宅に戻った時、初めてわが子が誕生した喜びに浸れました。

〈母親はまず健康でなくてはいけないのだなあ〉としみじみ思いました。

母子ともに退院したということで、旅行したことのない姑も新潟からお祝いに駆けつけてくれました。助産師の姑は、夫に赤ちゃんのお風呂の使わせ方を伝授しました。1歳の誕生日が来るまで、夫は毎日お風呂に入れてくれたのです。

その時生まれた長男は、今は結婚して2人の子供の父親になっています。

2人目の子供は女の子でした。彼女は、現在ニュージーランドで暮らしています。

3人目に女の子を授かったとき、家族全員で喜びました。3人の子育ては寝る時間もなく大変でした。私は風邪をひくとなかなか治りません。いつも疲れていて、もっと丈夫な体になりたいと思ったものです。

誕生した命が喜びに輝くのは、どういう時なのでしょうか。まずは両親が健康であること。そして周囲からの祝福があること。2つそろったとき、誕生した命は喜び輝くのだと思います。