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誕生の喜び

岡野 絵里子

今日の心の糧イメージ

「ジュラシックパーク」という映画を覚えていらっしゃるだろうか。6500万年前に絶滅した恐竜のDNAを復活させ、現代に生み出す物語である。

コスタリカ沖にある孤島に、恐竜のアトラクションパークが造られ、学者たちが招かれる。恐竜の化石を発掘、研究している古生物学者、グラント博士もその1人だ。せいぜい模型が飾ってある動物園だろうと思っていたところ、生きているブラキオサウルスが草の上を歩いているのを見て、驚愕する。地層に埋まった化石でしか知らなかった恐竜だ。立ち上がり、サングラスをはずそうとするが、手が激しく震えてしまう。口がきけない。奇跡を目の当たりにした人のように、博士は厳かな喜びに震えるのである。

このシーンは多くの人の心に印象深く残っているようだ。

私にとっても忘れられない。それは、信仰の素朴な原点を思い出させるからである。子どもの頃、イエス様に会いたいなあ、会えたらどんなに嬉しいだろう、と思っていたあの気持である。

長い間待ち望んでいた救い主の誕生を知った人々は、きっと深い喜びに満たされたことだろう。現代に生きる私たちも、年ごとのクリスマスを祝うことで、その喜びと感謝を心に刻み直す。クリスマスとは長い歳月をかけた祈りと願いであり、そして、その祈りに応えた大きな愛と恵みでもある。人々がそのことを思い出し、愛を分け合う時、そこに誰かの気配がある。2千年前にただ一度だけ来られたのではなく、人間のささやかな真心を受け取るために、何度でも訪れて来てくださるのだ。

目に見えなくても、私たちはその方を見上げている。やがて喜びが降りて来て、静かに私たちを満たしていく。