このシーンは多くの人の心に印象深く残っているようだ。
私にとっても忘れられない。それは、信仰の素朴な原点を思い出させるからである。子どもの頃、イエス様に会いたいなあ、会えたらどんなに嬉しいだろう、と思っていたあの気持である。
長い間待ち望んでいた救い主の誕生を知った人々は、きっと深い喜びに満たされたことだろう。現代に生きる私たちも、年ごとのクリスマスを祝うことで、その喜びと感謝を心に刻み直す。クリスマスとは長い歳月をかけた祈りと願いであり、そして、その祈りに応えた大きな愛と恵みでもある。人々がそのことを思い出し、愛を分け合う時、そこに誰かの気配がある。2千年前にただ一度だけ来られたのではなく、人間のささやかな真心を受け取るために、何度でも訪れて来てくださるのだ。
目に見えなくても、私たちはその方を見上げている。やがて喜びが降りて来て、静かに私たちを満たしていく。