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誕生の喜び

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

幼いとき両親を失った私は、父母のいる普通の家庭に憧れました。子どもの大勢いる愉しい家庭を創り、お母さん、主婦になるのが夢となり、結婚して2児の母となって子育てに没頭しました。

長女をカトリックの幼稚園に入れたのがきっかけでキリストの教えに触れ、まず夫が「洗礼を受けたい」と言い出して、僅か3ヶ月後、一家で洗礼を受けました。クリスチャンファミリー誕生です。

長男の出産で大出血し、輸血で助かった私は、子どもは2人で諦めていましたが、いのちの源の神を知り、安心したせいか、願ったら次男が、更に三男にも恵まれて、安産でした。

 

さて、長女に初孫が生まれた時、孫は子よりもかわいい以上に、自分の子育ての時には無中で気づかなかった事を気づかせてくれる素晴らしい存在と知りました。

赤ちゃんの無心な寝顔を見ていると、私が赤ちゃんの時、夫の突然の死で、私を残して東京の実家に帰らねばならなかった母の心を想い、一方で、残された幼い孫を慈しみ育てた祖父母の心を想い、一つのいのちが繋がり拡がってゆく豊かな気持ちになるのです。子育てを一歩離れて見られるゆとりがもたらす人生の深い味わいなのでしょう。

 

慈しみ深い神は、死ぬべき運命にある私たち人間を、神のいのちと共に永遠に生きるように招いて居られます。キリストを信じる者にとって死はその永遠のいのちへの通過点。つまり、新しいいのちへの喜ばしい誕生なのです。

 

孫は抱き上げると泣き止んで、すやすやと眠りました。この世の生を終えて新しいいのちに生まれ変わる時、神はこんなふうに、私たちひとり一人を優しく抱き上げて下さるのかしら・・・、孫をあやしながら愉しく想像したことです。