どんな本かな、とちょっとのぞくと動物の絵が載っています。少年はページをめくり、上の大きな字を読んでいる様子です。下の小さい字は読めないのかなと話しかけてみました。彼は私にスラスラと読んでくれました。感心して聞いていると、嬉しかったのか、「本、貸してあげる!」と差し出したので「また会えるかどうかわからないから」と、この可愛いらしい申し出を断りました。
そのうちに彼は「僕は44分に乗るから」と言いました。「そう、わかった。また、会えるかもね」。彼がおりる駅に着き、ドアが開くと男の子は立ち上がってまっすぐに顔を私にむけ、「僕は○○町、44分だから」ともう一度言ってジッと私をみつめます。友達になりたいと思ってくれた清らかな気持ちが胸の中に流れてきました。
私は前日、傷つく出来事があったのですが、この子のおかげで嫌な気持ちがぬぐわれました。一日中、朝の出来事を思い起こし、温かな気持ちでいることができました。神さまの目には私たちはみんな励まし合う兄弟として繋がっているのだと思うと喜びでいっぱいになります。