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繋がり

黒岩 英臣

今日の心の糧イメージ

過日、我が家の一人息子が結婚式をあげました。

その1部を紹介させて頂きます。

式が始まって間もなく、パイプオルガンが荘重に鳴り響く中、花嫁が父親の腕に手をまかせながら聖堂の入り口に姿を現し、ゆっくりゆっくり花婿の待つ祭壇の前へと歩みはじめました。

この歩みは、普段私達がすることはない程、非常にゆっくりであるため、お父さんはどうやら右手と右足が一緒に出てしまっているようで、花嫁の幸せいっぱいといった微笑に比べて、いかにも真剣に取り組んでいる表情が見てとれ、いささかぶきっちょな感じが、逆に列席者の好感を誘っていたようでした。

そして、新郎側の1番前に席を占めていた私の目の前で、お父さんは新郎に花嫁の手を渡しながら、何度も何度も頭を下げて、「娘をよろしくお願いします、よろしくお願いします、どうか、」と絞り出すような声で仰るではありませんか。

これが親なのですよね。これを見て、私の目からはこらえていた涙がどっと吹き出してハンカチもグショグショになってしまいました。私の隣りで、妻も同じようになっていました。

こうして、式は進み、聖書の朗読のところでは、私がこれを担当しました。多分、神父様は、花嫁の父親は花嫁を祭壇に導く役目があるのに、花婿の父親には何も役が無いので、気遣ってこの役を下さったのだと思います。

ここで私は、旧約聖書の雅歌から幾節かを朗読したのですが、その際、聖堂内にいるすべての人にそのメッセージが伝わってほしいと思って、常々素晴らしいと思っているある朗読を参考にしたのです。それは、実は、「心のともしび」の朗読だったのです。

こうして、神様の御前で、両家の間に固い繋がりが出来たのでした。